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[コメント] 地獄の掟に明日はない(1966/日)

原爆症はネタでしかないし、採光が拙くロケとセットの質感が違い過ぎるし、アランフェスのモロパクリの音楽が貧しい。俳優の魅力の無駄遣い。健さん十朱幸代の組合せは珍だが、思えばどちらも東映ヤクザもの
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







長崎でヤクザ同士の地獄戦争。競艇場で代貸健さんの親分河津清三郎と間違えて小林稔侍が開巻5分で刺殺され、フィアンセ南田洋子は嘆く。ライフルで報復。相手の親分は河津の元舎弟分佐藤慶、全国からの助っ人集300人。河津の顧問弁護士三國連太郎は佐藤に休戦を頼むが交渉不成立。三國はこちらにも助っ人300人と呟くと、やられる前にやれと佐藤の手下は河津の組事務所に突撃。三國は河津と佐藤を宴席で引き合わせ、手を組んで政治結社を提案、取り合いしていた競艇場は三國に委任。それ以外にいい手はねえなと二人は握手する。三國が一番悪者と判りやすい。

健さんは原爆症。諏訪神社で蝉取っていたと黒煙と潰れた神社の回想があり、そこで河津に拾われて全幅の信頼よせていて、三国人に占領されそうになったこの町救ったのは誰だと旧友の新聞記者今井健二(この頃は二枚目)に絡んでいる。クルマ運転していると視界が黄色くなり、十朱幸代跳ねかけて知り合い。原爆病院に通院して見舞いの十朱と再会。河津の前で眩暈起こして蹲る。白血球が大幅増加、医者には入院を勧められて断っている。なんか当たり前で、全然穿った処がなくて不満。

河津は佐藤に報酬として競艇で八百長して稼がせようと、競艇選手の串田和美に組のオンナ抱かせて強請るが、彼は十朱の弟。弟に手出さないでと錆びた廃船の並んだ海際で別れる。串田はプライドのある選手で、まくって快勝。組の資金半分注ぎ込んだ馬鹿な佐藤はご立腹で戦争が再開される。なんちゅう展開だろう。今井も何がしたいのか判らぬ造形で、佐藤に写真持ち込んで選手の姉は健さんの恋人と掻き廻すのもだたの目立ちたがりにしか見えない。

十朱は着流しの健さんに捻じ込み、弟がいないと訴え、健さんに平手打ちを喰らうと途端に色っぽくなり、物置でリンチ受けている弟を見つけて助けると、部屋まで来てやくざ止めてくれと頼む。健さんは、最初に殴られたという南田の稔侍との説明的な馴れ初めを実地に移したのだった。健さんは十朱を沖永良部島へ誘い、十朱は抱きつく。トンデモ展開というべきで、こんなもん応用が利かない。殴ったら一生口きいてもらえないぞ普通。十朱もどこが魚河岸の女なんだか判らぬ造形。

健さんは素人に手出さないでくれと河津に頭下げるが、すでに戦争は始まっていた。じゃあお前示しつけてこいと指示されて、雨の温泉で待ち伏せして「死んで貰います」と佐藤を刺し殺す。長崎くんちの人込み縫って逃げ戻るが、河津は三國に売られていた。健さんが三國を長脇差で殺したとき、原爆症は膏肓に入り、よろめきながら十朱と待ち合わせの港へ向かう途中、鉄砲玉に刺されて石畳で往生するのだったが、この主題なら原爆症で死ぬべきではなかったのだろうか。本作、タイトルだけは格好いいが、会社で差し替えられた題の由。

(評価:★2)

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