[コメント] 支那の夜(1940/日=中国)
本作は情報局映画でないのだが、さらにひどいプロパガンダに見える。国が関与したかどうかはこの際関係なく、製作者がどうすり寄ったかが問題だと思われる。戦時下なのにピチピチに肥った長谷川一夫の魅力のなさは60年代の裕次郎を想わせる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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廃墟と化した実家に佇み「こんなにしたのは誰なんですか。私は憎らしい」と訴えるジュディ・オングみたいな李香蘭。聞いた服部道子は「彼女は不幸にあったので心がひねくれているんですわ」(!!)と長谷川に優しくするように諭す。それは、違うのではないのだろうか。そして、殴った長谷川の膝元に蹲り「ここにおいてください」と泣く李も違うんではないだろうかと思う。抗日の兄を裏切って長谷川をアジトから救う李。ふたりは蘇州夜曲が流れる寒山寺でデートする。出来損ないとしか思えない展開である。
長谷川の乗る小川行く舟を中国兵が襲う件は、敵兵がほとんど出てこない情報局映画とはひと味違っていて見せてくれるものがあるが短すぎる。死んだのかと思いきや嘘のように再登場する長谷川、とは一体何の隠喩なのか測りかねているうちに映画は終わる。
ヒット作品につきいろんなバージョンがあるらしく、現存フィルムの中国語に日本語字幕がつかないのもそのせいらしい。「支那」は中国では当時も差別後で使われなかった由。エンディングには「蘇州夜曲 終」とある。本作は完全な形で残されているのかが疑問、削除された箇所にこそ重要なものが潜っていたのではないかと思わされる。
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