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[コメント] チャパーエフ(1934/露)

「もう戦争はこりごりだ村へ帰ろう」と訴える青年を問答無用で射殺して群衆の圧倒的支持を得る名将チャパーエフ。いくらなんでも無茶だろう。気持ちよく1点。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







全体に、チャパーエフの誰とでもフランクに語り合い、やりこめられても笑って許すような度量の広い気持ちのいい上官、という造形が強調されている。芋使っての戦術の議論も、最後に相手にまぜっかえされて笑い話にする。銃使いの婦人も鷹揚に扱う。君はボリュシェビキかコミュニストかと問われてインターナショナルだ、第2か第3かと問われてレーニンの方、と答える。この議論はある種難解だが、細かいことはどうでもいいのだと云っているのだろう。こういうのが社会主義リアリズムだったのだろう。コメントの無茶もその一環なんだろう。

酔っ払って寝込みを襲われるのは間抜けだが、史実だから仕方ないのだろう。件の酔っ払いシーンでは戦いの歌が延々歌われる。ロシア魂とは畢竟、このような歌なんだろうと思ったことだった。映画としては冒頭、三頭立馬車を駆使して登場して敵陣になだれ込むショットが秀逸だが、ここ以外は冴えず、ソ連映画として優秀とは思われない。水の底に隠していた武器を探し出す件は『炎628』がパロディにしているのかなと思った。赤軍白軍の白軍、チェコ軍ばかりが立派な制服着ていて、彼等の旗は髑髏マークであるが、これは本当なんだろうか。

上映に先立ち「映写トラブルの惧れがあります」とアナウンスされ、巻によっては焦点の定まらぬ箇所もあった。修復を望みたい。まあプーチンが好きらしいから本国にはきれいなフィルムがたくさんあるのだろうけど。

(評価:★1)

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