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[コメント] 水の娘(1924/仏)

当該水の娘の年齢詐称と厚化粧が酷すぎる。何かの事情で採用せざるを得なかったんだろうか。いい映画なんだけど愛せないフィルム。替わりにリリアン・ギッシュなら★5だっただろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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冒頭「ヒロイズムは異国のことと思いがち。我々は日常に無関心だ」と字幕で語られるヒロイズムの物語。冒頭の運河を行くバカでかい船が圧巻。叔父の強姦未遂の細かいカット割りは『フレンチ・カンカン』の監督らしいのかも知れない。野原で雨にあって見る幻覚は本作の美味しい処で、シュールな野原をスローモーションで駆け、石柱を横向けにカメレオンに追われ、白馬に乗せられ救われる。この善意に溢れた一家は云うところのヒロイズムなんだろうが、甘すぎる気もする。叔父が再登場してせびられた金渡す際の手と手のアップは『ラルジャン』だろう。最後はこの叔父が川に落とされて終わる。

くどいけど、この叔父と水の娘は年齢差があるようには見えないのがいけない。娘の雨を知らせる拡声器はゴダールっぽく、崖転げ落ちるノンスタントはもの凄いものがあった。

途中拾われるトレーラー住まいの母子の件が興味深く、息子の仕事は密猟監視と云われるがフランス映画にはこれがやたら多い(『少女ムシェット』とか)。どういう存在なのだろう。娘を弟子にして野菜泥棒、密漁して、報復の連鎖で富農の息子に集団私刑で襲われかけて村を逃げ出し、住まいのトレーラーハウスは放火されている。このアウトカースト感はちょっと印象に残るものがあった。ルノアールもまた、こういう地点から映画を始めたのだった。

(評価:★3)

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