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[コメント] オンボロ人生(1958/日)

当時たまにある無宿者や精薄者への差別丸出しのコメディで、バカにしつつ彼等の強かさを褒める作劇。そして賞賛されるのが大金持ちと元華族というのが沢村勉らしいのだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭、ビルの谷間の木造と塗炭でできたバラックが解体屋に実に簡単に壊される。住人はなすすべなく「また立退きだ」「政府は収容所に入れって」「いい処じゃないよ」と移動、宮城まり子益田喜頓が住むあばら家に辿り着くが、益田は若い娘に近づくなと誓約書書かせてドタバタの原因としている。

宮城は何でわたしは学校に行けないのと尋ねると、益田はクルクルパーの手つきをする。殿山泰司は「かなしいかなしいメクラ」と首から札下げて乞食をし、別の日には傷痍軍人の格好をしている。そこに加藤芳郎が泥棒の募集に来るが、この原作者の演技がやけに上手い。加藤の漫画は長く続いたが、いつまでもこのような差別的な切り口があったものだった。

宮城と益田は屑拾い。リヤカー曳いて籠担いで、「何でも拾ったらいいんやよ」と火鉢を使っている。戻って来てゴミの分別をしている件もある。「お父ちゃん、なぜ私はバカなのさ」と宮城はセットで唄い、益田も一緒にミュージカル。私には何も面白くないが、こういうのが愉しまれた時代なのだろうか。

当たった宝くじでレストランで食事していたらみんなが押しかけてレストラン大迷惑という件がある。カネは全員のものだという道徳があるという主張なのだろう。桂小金治はこれ元手に同棲初めて失敗、柄にもないことするとこうなると揶揄される。一方、宮城は横浜の金持ち北龍二の子息だったと同居、間違いと判るが、間違いでもいいとあばら家で同居する。

日守新一の狂った将軍は火星に土地を15万坪買ったからと居酒屋に借金、人工衛星ができた、火星はいいぞ原爆ないし天国じゃと語って車で病院に連れ去られる。アタマが疲れたんだろう少し休んでもらおうというフォローは、類似作のこのネタに比すれば優しいものだ。賞賛されるのが大金持ちと元華族というのが沢村勉らしいのだろう。カラースタ。

(評価:★2)

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