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[コメント] アーノルト・シェーンベルクの映画の一場面のための伴奏音楽入門(1972/独)

ただ告発だけが叩きつけられる、ストローブ=ユイレのエッセー映画、短編スタイルの嚆矢。シェーンベルクが友人カディンスキーたちのユダヤ人差別を切々と非難する。「侮辱は厭だ!」
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







テレビ放映用の映像とのこと。シェーンベルクは決して攻撃的な態度ではなく、戸惑いを隠していない。彼はブルジョアで、共産主義を嫌っていた人らしい。ブレヒトの反資本主義の演説が継ぎ足される。「私的所有は暴力を産む。ファシズムに反対するとは資本主義に反対することだ」。シェーンベルクの感情を修正するかのよう。

冒頭の、口から延々水吐いている石像(マスケローネの泉、ローマ)は『歴史の授業』のラストと同じ画で、再び笑わせられる。両作は横断的に語られるのだろう。戦闘機の爆撃映像が続く。ラストにはアウシュビッツ強制収容所の設計者が無罪になった新聞記事の引用。

(評価:★4)

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