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[コメント] i-新聞記者ドキュメント-(2019/日)

こういう文屋の反骨の成果がテレビでは殆ど流れなくなった現在、映画は記録する価値がある。社会部記者のドン・キホーテのような突撃取材は、政治部記者の大半のサラリーマン化と好一対を成している。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







官房長官記者会見。辺野古への投入土砂にヘドロ化する赤土を含有率10%とする申し合わせが守られているか。菅官房長官の適当な記者会見と上村秀紀報道室長の機械的な質問妨害(促し)「質問に移ってください」連発。2問制限、挙手無視、望月氏を特定した質問制限。望月「何のための記者会見だと思っているか」菅「貴女に答える必要はない」。菅「事実に基づかない質問は許されない」質問を広報しているという解釈をしている訳だ。

別の件でこれは喜劇化される。沖縄宮古島、集落が間近にある弾薬庫予定地、分屯基地の給油施設と並ぶ弾薬庫。地元了解からは隠されているのだが官房長官記者会見は「地元了解があるのではないでしょうか」で終わり。望月は一面で記事にして、岩屋防衛長官は説明していなかったと謝罪。この一連の取材が見処のひとつだった。記者とはこのように仕事をするのだ。

忙しい望月の活写。タクシーに乗る前から、降りてらかもまだ社と電話し続けて、我にかえって「お金払ったっけ」。弁当はご亭主がつくる。「北朝鮮から来た女やないかい。殺したる」という社への電話。週刊誌の出鱈目記事。

籠池夫妻も登場する。安倍夫妻も読売新聞も日本会議も批判、望月も森も持ちあげた取材対応のなか軽薄さが伝わる(夫人がハイ)。園児の例のエイエイオー(中国韓国をディスって安部首相を持ちあげている)もフルで記録されている。

その他取り上げられたトピックは、加計学園発言四日前の前川氏の出会い系バーの読売報道。伊藤詩織氏の訴訟。辺野古埋立住民投票。外国人記者からの政治報道後退の指摘。報道の自由に係る官邸前デモには南彰も来ている。

最後は茫洋と終わる。森達也は官邸前撮影。警官に撮影理由聞かれて「撮るの好きなんです」と応えると問題なし。しかし有名監督と判明すると警官は望月と森にトウセンボを始める。森達也は官邸記者会見に入れないか色んな画策をするが果たせない(民主党政権では金曜午後はフリーランス記者にも解放した)。望月は社内でのやりとりも喧嘩腰でやっていて「一番キツイ」。最後は秋葉原の安部首相選挙応援で大量の日の丸が振られる様子。喰いついても掴めない相手への戸惑いが刻印されていた。アンチロマン風である。

(評価:★4)

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