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[コメント] 魔術師(1926/米)

話は平凡でサラサラ進んで余りインパクトがないのだが、すでに上等な撮影美術で、50年代のハマープロと騙されても判らないレベルの悪魔信仰映画。原作モームなんだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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冒頭の悪魔像が首から折れるショットは上等(友達が夜明けを夜更けとタイトル替えるのはどういう意味なのか)。遊園地も素敵で高速のメリーゴーランドが感じよくコブラも素敵だ。風船かぶって天井にある帽子を煙草で落とすギャグは、ギャグを飛ばすタイミングではないように思われた。昨晩の詫びと家宅侵入する魔術師、顔アップだけの催眠術。笛吹くファウヌス、悪魔の像。鍋が火を上げ大量の煙を上げ、するとカーニバルの幻覚になり背景に同じ煙が横殴りに流れていて魔術師もいつの間にか角が生えている。着物着たパウル・ヴェゲナーは東洋人っぽいのかも知れない。扉開けて出ていけと云ってアリス・テリーは「出ていけないのを判っているくせに」と詰る件がいい。

最後は古城で古文書通りの人体練成の秘法の実験。古文書通りに実験すること自体が狂気と思われる。大日本帝国の時代の通りに物事考えるのも同じような狂気だなあと思いながら観ていた。女のドレスに鋏が、みたいなクライマックス。魔法は出てこず殴り合いなのは地味だが、最後の塔爆破は見事。小人症の門番ぶら下げるラストはえげつないものだ。 上演は伴奏なしの無音状態で、鼾をずっとかいている客がいて、とても間抜けな音響だったのだが、地獄からの唸り声と考えたらそれなりに迫力があった。悪魔は字幕でソーサラーと書かれる。

(評価:★3)

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