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[コメント] 子供たちは見ている(1943/伊)

後年の艶笑譚の予告のよう。戦争がなければこればっかり撮ったのだろうか。デ・シーカ印の健気な子役の混入が抜群。そして見事な見事なラスト。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







子役が線路歩くショットの危うさは『ウンベルトD』を想起させる。ラストはコメディから身を翻してさらりと深刻になり、上手い。母を許さないラストの身振りでもって、少年はメロドラマを拒絶してしまった。

忘れてしまいそうになるが、イタリアは戦争中なのだ。まだシチリア辺りでドンパチやっているばかりで、北部では市民生活に影響がなかった。子供がいるのに何しているんだ、という本編に漂う苛立ちは、戦争の暗喩だったようにも観える。

ラッパ吹いてあやす小児科医ほか、いい断片に溢れた映画だ。団地ではやたら馬鹿でかく、人形劇やっているし、海水浴は盛況、ホテルの奇術(チラシからティルトする)もいいシーンだ。

あのすでに千里ニュータウンより上等な団地が、終戦直後にデ・シーカやロッセリーニ作品で廃墟として身を晒すのかと思うと、ゾッとさせられる。

(評価:★5)

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