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[コメント] 情熱なき犯罪(1934/米)

見処は奇矯な撮影美術か。当時どこまで新しかったのか判らないが。話はサイレント期によくあったシニカルな教訓劇をまだ撮っている具合で平凡。だから名脚本家の監督失敗ではなく、脚本自体が振るわなかった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「自らの欲望のためには神をも恐れず自堕落に生きている男には、怒りに燃えた悪魔の三姉妹が待ち構えている」と三姉妹が硝子割って襲いまくり、積み重なった硝子が詰みあがったタイトル。これとか、主人公の顔と回想と車窓の三重写しなんて手法は、当時目新しかったのだろうか。法廷の格子窓の向こうの鋭塔が印象に残る画。殺人の件、撃たれる事故の暴発が一瞬のドアップで撮られ、軽い斜め構図が引き継がれるアクション繋ぎも感じ良かった。。

捏造で訴訟に勝つ法律事務所の弁護士は天罰を受けるという話は、世の中そんなに立派にできていないのだと思うばかり。クロード・レインズは若い頃の藤竜也みたい。マーゴは初出演らしく見るからに固い。尋ね人の広告で昔の恋人呼び出して逢わせ、それを目撃して責めるとは、名脚本家らしいいいアイディアだが、本作ではシニカルにしか機能しなかった。殴られてレインズの発砲、間違えて演奏続ける楽団、死んでいなかったマーゴのダンス。皮肉なラストの全員集合もそんな印象。

花束渡して「クリスマスローズ。雪が降らないと咲かない。君のような花だ」という気障な科白はメモってしまった(実際はそんな花ではないようだが)。使ったら悪魔に襲われるだろうか。

(評価:★3)

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