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[コメント] 男性飼育法(1959/日)

アリストパネス「女の平和」の応用編で、本作の価値はもっぱらこの名作を教えてくれること。フェミニズムの理想はかくあってほしいものだと思う。映画は喜劇がイマイチ腰が据わらない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







中盤に淡島主演の劇中劇が始まり、「女には敵も味方もない、スパルタ軍と語り合い、戦争を終わらせるために男を遠ざけるのです」。これが最も上手くいくのが淡路恵子アチャコ由利徹たちの通りで赤旗振り太鼓叩く料亭の解雇反対ストを止めさせる。アワシマは自分の活動で建設しようとした母子寮予定地を森繁が開発に流用するのをやめさせようとする。森繁はこれ幸いと浮気などするが、母子寮の総会で褒められたりして鼻の下長くして撤回。

複雑なのは水谷で、亭主の小林桂樹は人工授精、精子の冷凍保存の研究しており淡泊。「男女の愛情は」「人間の尊厳はどうなるの」と疑う水谷に「革命が起きると思うね」「死んでもその人の子供は産まれる」。それで水谷は人工授精で妊娠したと告白、小林は驚嘆し、外を歩く誰を見ても父親に見えるようになり、人物横延ばし描写のノイローゼ、水谷の言葉を理解する。しかしそこから混乱が始まり、火山の噴火を見て原水爆で奇形児ばかりになると、水谷は小林の研究を認め始める。なんでこんなにゴチャゴチャさせたのだろう。

小林との夜がない水谷を揶揄って淡路は「でもキスぐらいはするんでしょ、カタワじゃあるまいし」と放送禁止用語を放って水谷を抱擁する冗談があり、こちらがビックリさせられる。東京映画、カラーワイド。

(評価:★3)

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