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[コメント] 毒蛇のお蘭(1958/日)

着痩せするタイプの小畑絹子に大した露出もないのに悩殺されそうになる。後半は若杉嘉津子との女の対決という好ましい展開。出たと思ったらすぐ殺される可愛い松浦浪路が不憫。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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討幕の藩士中村竜三郎、何という奇怪な丁髷だろう。上京して三年経って明治二年、小畑絹子はすでに洋風の幌被せた馬車のなかで、散切り頭の天知茂に襲われ、彫り物入れられておぼこ娘が一辺に性格変わる物凄さ。着痩せするタイプらしく賭場でもろ肌脱いだら相撲取りみたいに豊満でどっきりさせられる。「狙った獲物は逃がしやしない、毒蛇のお蘭とはこのアタシだよ」「そいつはどうも、御見それしやした」「これを拝ましたからにゃあ、千両箱のひとつくらい呑みこまないことにゃ、帰る訳にはいかないね」ガラッパチがもうひとつ板についていないのが愛おしい。

その後は若杉嘉津子との恐ろしい三角関係になり、女同士の格闘迫力、本作最大の見処である。そして伊藤大輔ばりの瓦屋根の格闘、提灯はなくやたら粉塵が舞うのは何だろう。明治初年の再現美術が愉しく、小畑の振袖からの拳銃乱射が格好いいのだが、刑事になった元カレが明治天皇そっくりなのは如何なものか。最後は運命の悪戯の再会、簪の小物で泣かせる。罪の償いを何年も待っていると男は格好よくお縄の女を見送る。しかし、この女を何年も探しもしなかったのは薄情では、という疑念が残ってしまうのは失策だと思わされる。「どくじゃのおらん」と読ませる。

(評価:★3)

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