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[コメント] 七人の刑事 女を探がせ(1963/日)

推理劇は低調だがいつもながらロケ中心の風俗描写が面白い。本作も荒川映画、葛西橋から四ッ木橋が捜査範囲、荒川は湿地で沼のようだ。浦安の河川に連なる川舟の上を逃走する件もスリリング。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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火事の感化院から集団脱走した娘たちのひとりが殺され、まだ戻らない娘の捜索が描かれる。刑事の菅原謙次に一方的に懸想する十朱幸代がいい活躍で、代わりに来た城所英夫を「鶏のガラみたいな顔」と実に的確に表現して場内爆笑。一日一回船見に来る精薄の中村晃子は本作がデヴュー作でまだ子供。十朱は彼女の居場所教えたり、殺された仲間にご用立てした金があったと遺族に取り立てに行ったりとギャグを重ねる。

写真の背景がおかしい、みたいな推理ドラマは地味だが、高千穂ひづる田村高廣の密会と尾行する刑事たちをバストサイズの長回しで追いかける件は演出自体がいいサスペンス。渡航まであと二日かかるという謎かけは、田村は海外へ高飛びするにあたり予防注射を二回打つ必要があるというもので、複数打つ必要のあるワクチンってあるものなのだと、昨今のコロナワクチンが想起される。ビザ申請手続きで当時の外務省が映される。右手入口はそのままだが正面建物はまだない。

終盤は混血児の青山ミチがクローズアップされ香山美子が親友、二人が目星通り犯人を知っていたという収束。彼女たち感化院の娘たちを美川陽一郎の老刑事が優しく励まして映画は〆られる。森永乳業と日本ビクターが提供で、これはテレビを引き継いでいるのだろう。劇中、ビクターの工場が映される。モノワイド。

(評価:★3)

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