存外にも悪役を指弾しない収束になった。病院理事長の娘にしてＳＭクラブで活躍する原英美。彼女が掻き廻しそうになるが、彼女の脳の病気が見つかって展開にブレーキがかかる。なるほど病気は天啓であることもあるのだなあと思った。深刻になりかけてそうならない展開は片桐夕子のノホホンとしたキャラと相性が良かった、

ラスト、看護師辞めて失業して愉しそうな片桐がいい。仕事辞めるのは愉しいのだ。まあ、看護師資格があればいくらでも再就職先はあるから、余裕があるんだろうけど。当たり屋で、路上で詩集売る小松鉄男と、くっつくかと思いきや去るのも芳しい。そして最大の見処は、病院の体質を疑い、眠剤で強姦させた原英美を平手打ちにする意外に真面目な高橋明だろう。

ノーマルなタイトルも不思議な作品。なお、脚本家中野顕彰（中野圭一郎）のキャリアはすごいものがある。『俺に賭けた奴等』『スパルタ教育くたばれ親父』『東京エマニエル夫人』『未来少年コナン』等々。