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[コメント] 母(2012/スイス)

「レウコの対話」からの短編朗読。「お前はどうあっても母の血と肉だ」「お前の血と肉の中で母が吠えている」そんな具合に母を想起するとは何と恐ろしいことだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







黒画面を背景のマーラーの歌に字幕はない。ユイレ追悼の趣旨らしく、歌詞を字幕にするとこれが強調されるので避けられた由。別に母国語の人には判るのだから、避ける必要があるのかと思うのだがどうだろう。

見事な木漏れ日の下で老人の男女が語り合う。男はメレアグロス、女は神(ヘルメス)。ふたりとも老人。メレアグロスは母の呪いで殺された由。神は繰り返す。「お前はどうあっても母の血と肉だ」「血と肉の中で母が吠えている」「なぜ殺したかも判らぬ。なぜ産んだかも判らぬのと同じ」。息子は母の運命だという主張は、ぎょっとさせられるものがある。

(評価:★4)

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