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[コメント] Don’t Let It Bring You Down(1993/日)

逃亡する自衛隊夫婦と原将人のなれの果てみたいな8mm青年との交流が描かれる。ひとつとてもいい科白があった。「でも空はとてもきれいよ」。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「義理人情に縛られて生きるのは厭だ」「子供に武器なんか持たせられない」と徴兵制の極秘文書持ちだして逃亡する自衛隊員佐野和宏岸加奈子。道中ライトバンで拾った津崎公平はひとりで8mm映画撮っている原将人みたいな男。夜のお寺で他に客のいない上映会。それは仕方のないスプラッター系というギャグなのだが、岸はふたりで映画観るのは10年振りと悦び、「つまらない映画だね」「でも空はとてもきれいよ。本当にきれい」と繋ぎに撮られたワンショットだけの空を讃える。この科白がとてもいい。8mmの空もとてもいい。

原題『変態テレフォンONANIE』の通り、佐野の妹で実家で寝た切りの父の面倒みている高木杏子のそれの描写が力入れられている。自衛隊からの追手のギャングが続いて鳥のフンを被るというギャグがあった。彼は「お前に判らないのは数の論理だ」と娼婦のパンティで夫婦を殺害、8mm青年は空を映してふたりを追悼する。

告発は単線的でもっと頑張ってほしかった。自衛隊機などが遊具として並べられた公園が一番の告発に見える。あれはどこだろう。タイトルはニール・ヤングの歌で「へこたれちゃ駄目だよ」という歌詞だと語られ、最後に歌詞が字幕で映される。その劇伴がラブ・ミー・テンダーというのは貧乏なピンク映画らしく好感。

(評価:★4)

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