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[コメント] 十月になれば(1984/ベトナム)

未亡人の秘められた恋愛を描くメロドラマなのだが、凛とした緊張感と気品のあるいい作品。ズエンのレー・バンは松原智恵子さん似。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







妻ズエンは戦地に夫ナームを訪問して戻ってくる。夫の戦死を確認してきたのだが、家族に云いだせない。老いた夫の父フクと、息子のトウアン。

帰路の船上で彼女の主観描写があり水面が揺れる。後に彼女が眩暈を起こし川に落ちて教員カーンに救われたと判る。ズエンはカーンに夫の死を伝え、家族に夫に化けて手紙を書いてくれと頼む。そのような関係が始まり、恋愛になる。

宗教的な描写が続き興味深い。死者と生者がであう祠、凧、祭りと歌、戦地の夫を思う歌で泣き出す妻。白粉の化粧。最後はカーンの妻に偽手紙がばらされてカーン夫妻は引っ越す。「ご主人にはなれませんでした」。

義父の病気が悪くなり、息子が町へ電報を打ちに行き、乗せてもらった軍車両の兵隊が父の戦友で、父が死んだと知らされる。息子はこの戦友を連れて家に戻るのだが、「じっちゃんに死んだと云っちゃ駄目だ」と母と同じ行動を取る。ここにひとつの感銘があった。義父はこの戦友を息子と思い、手を握り締めて死ぬ。後悔で妻は泣いた。

(評価:★4)

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