[コメント] 恍惚の人(1973/日)
ある意味、森繁と凸ちゃんのボケと突っ込みの連発であり、余りに純粋なので喜劇を超えてしまった喜劇とも取れる。喜劇とは本来峻厳なものだと思い知らされる。余りのことにサイレント仕様へと先祖返りする終盤のキャメラが抜群だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そしてラストでは森繁は小鳥に変身を遂げる。森繁は籠からすぐ逃げ出すうんこ垂れ流しの動物だったのだと告げている。これも人間の条件だと。そして高峰の涙は決して自己憐憫ではなく、森繁との関係のなかで流された涙なのだ。自己を犠牲にしてはじめて流せる涙、これも人間の条件だ、と本作は詰め寄ってくる。
「人間」になれない田村や乙羽の情けない造形もさすが。社会が認知症を知り始めた驚き、こんなことがあっていいのか、という告発としても生々しい。
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