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[コメント] 氷点(1966/日)

あれえ、これって継母が主役だっけ。陽子は脇役だっけ。おかしいじゃない。収束はほとんど人倫に反する。水木ともあろう人が何を考えていたのか大いに疑問。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







若尾文子が主演になるのが妙ちくりん、『雁の寺』と同じく大映の大人の事情だろうが、継母の陰影ばかり見せて、陽子の見せ場が遺書の朗読では不完全燃焼、そもそも映画にする意味がない。

この前まで妹として暮らしてきた陽子を口説きだす山本圭が気持ち悪い。そんなことあり得ないよ。変態か。この辺りのぎこちなさが酷い。短尺で説明が足りないなら省けばよい。巨悪を語らない山本薩夫は粘り気がなく平凡以下。森光子は好演だが、マルキストの恋人の話をさせたいがための演出だったのだろうか。『白い巨塔』の資金集めだったのだろうか。

収束は最悪。犯罪者の子供じゃなかったから救われる、というラストには、ならば犯罪者の子供は救われないのか、という疑問が噴出する。継母が後悔して終わり。これが当時のメロドラマの常識か。誰の祖先も罪人という主題はどこへいったのだろう。ここで話を終わらせるこの映画は酷過ぎる(原作には続編がある)。

(評価:★1)

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