[コメント] 永すぎた春(1957/日)
三島由紀夫の特権階級意識が露骨に出た愚作。貧乏人が金持ちをやっつける話ばかりなのを憂いてその正反対を描いてみた、と云った処だろうが、それならも少し上手にやってもらわないと。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「人間はみんながみなんな幸せになることなんか、この世の中じゃありえないことなんだよ」で物事を済ませて、「わたしたち大人になるのね」で笑っていていいのだろうか、一体。こういうシニカルな夫婦がアベノミクス相場でボロ儲けして、他の悪政は「大人」として評価したりして本作の沢村貞子(好演なのがアホらしい)になり、ちょっとリベラルな意見に触れると「あなた共産党?」と絶叫したりするのだ。何とリアルな構図だろう。
川口浩と若尾文子にこんな科白を云わせないでほしい。序盤の軽妙な喜劇は三島の得意技であり、このままで通せばいいものを、こんな腐ったような教訓で纏めるとは何事だ。角梨枝子やら村田知栄子やら、愚かな脇役の私恨晴らしに似た不愉快な造形は何なのだろう。
八潮悠子と村田の親子の説得力のないこと甚だしい。こういうジレンマを抱えた関係を深掘りしてこその文学であり映画だと当方は信じており、切り捨てて喜劇に戻るなど話にならない。
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