コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 暴れん坊街道(1957/日)

千恵蔵二世の暴れん坊植木基晴堂々の主演映画。佐野周二千原しのぶに植木が絡む前半がホノボノしていてとてもいい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







やむを得ず里子に出した子供に最悪のタイミングで再会する親、という筋は仏教因果譚めいており、なぜ我が子と暮らせないのかと嘆く山田五十鈴に封建社会への批判が圧縮されている。しかしここは云いたいことは判るが型通りを出ない。佐野の自害も終盤のエコノミーという意味では優れた急転直下だが、唐突感があり納得はさせてくれない。

優れているのはやはり前半の三人の丁丁発止。植木は素晴らしく、飄々とした佐野は彼の持ち味が出たいい造形だし、粋な千原しのぶもとてもいい。馬上と二階の縁側のふたりの出会いがとても印象深い。博打で擦って半裸になり蚊帳で身を寄せる佐野と植木に、千原が着物を放り投げる辺りの呼吸は、とてもいいものだった。

撮影はスタンダードを比較的普通に撮っており、佐野が進藤英太郎を殺してしまう夜道の件がベストだろうか、この長回しは力感溢れている。進藤はもう一箇所、植木に刀を買い取れと相談されて一転受け入れる際の科白の呼吸が超一流だった。

歌舞伎の「重の井子別れ(しげのい こわかれ)」も子役が科白を喋り倒す芝居らしい。元タイトルは「愛憎街道」と云ったらしく、宣伝パンフが映画館に飾ってあった。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。