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[コメント] 汗(1930/日)

なぜか主演している島耕二の王子と乞食。豪勢な富豪振りで、某麻生太郎の本宅も2万坪あるらしいが、丁度こんな具合に威張り散らすのだろう。映画は傾向映画というには労使協調路線。見処は滝花久子なんと23歳いい愛敬。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







威張り散らす富豪。ベッドの横で起床を待って整列している侍従たち、生演奏付きの朝飯、御当家記念館の建設、ものすごい山の別荘、折に触れすぐ始まる検温。

退屈。山の下へ駆けっこ。転倒気絶して泥棒に身ぐるみ取り替えられ、タクシーには乗せて貰えず路上に突き落とされるハリウッド風ドタバタ。疲れてあぜ道から畑へ転落するショットも驚きがある。彼は記憶喪失ではないのだが茫然自失とするのだろう。棒に飯盒炊飯の窯みたいな空き缶(何だろう)大量にぶら下げた缶の鳴る音に惹かれて寄っていく。

食い詰め物と思った滝花のお静の計らいで土木現場に雇われ、お静「自分で稼いだお金だよ」に島「私の品位が傷つけられた」。親分の飲み屋の立て替えで奴隷状態になり、王子と乞食が始まる。当時の労働者が活写され、家に帰りたいというと真剣にぶん殴られるショットがさすが内田吐夢の迫力。

一日の労働は「一両二分に定まっている」と先輩のデブが云う。ときどき映画に出てくるのだが、両という単位は使われたのだろうか判らない。滝花が優しくするので富豪は嫉妬を買い、高い足場から転落させられる。このときバケツだけが落ち、滝花のドアップ、そして地面には島が倒れているという印象的な繋ぎがある。襲われる滝花の救出も顔アップ連発の激しい編集。

最後は土木工事で富豪が造っていたのは彼の先祖の記念館だったというオチ。富豪は真面目に帳簿を見るようになり、手数料ピンハネをチェックするようになり、労働者に賃金を弾む。プロレタリア革命ではなく労使協調のハッピーエンドであった。最後は滝花が新妻、富豪は飯が旨くなるように汗かこうと、土砂ふるいに励むのだった。

(評価:★4)

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