コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 大脱走(1963/米)

針金細工でバイクを奪うマックイーン。自転車泥棒するコバーン。不良が高校から町中へ脱走するためのノウハウ伝達集の趣。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







脱走のプロ集結、全ての脱出作業はすいすい上手く行く。アクシデントもプロなら乗り越えるためのアクシデント。すぐれた劇伴が盛り立てる。展開は全能感に満ちており、実際の戦争がこんなに上手くいく訳はないのだが、上手くいってしまうのが娯楽作。昨今のストーリー付ゲームは本作など大いに参考にされたのだろうと思わせられる。こういうのは趣味ではない。

物語に映画らしい起伏が現れるのはオーラスの失敗発覚のどんでん返し。序盤から、ドイツ空軍対ゲシュタポやSSという対立構図が描かれていたのだが、最後にゲシュタポは逃亡した捕虜を惨殺して批難され、ドイツ空軍は免罪される。この区分、ニュアンスが重要なのだろう。本作が第一次大戦の『大いなる幻影』の脱出劇と異なるのはナチスの存在だ。しかしこの興味深い視点は大して掘り下げられはしなかった。

冒頭にロシアの捕虜と収容所を交替するのだが、このロシア兵が年寄りばかりなのはなぜだったのだろう。「なんで米兵が英兵と組むんだ。議事堂焼かれただろ」とデマ信じている独兵の件はいい細部。マックイーンらが芋で焼酎をつくって独立記念日に振る舞う件があり、焼酎は英語でもshochuのはずだが、ここではmoonshine(密造酒)と連呼されていた。格好いい男優ばかりのなか、目が悪くなるドナルド・プレザンスが印象に残る。2時間52分版で鑑賞。再見。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。