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[コメント] 天使のはらわた 赤い淫画(1981/日)

鑑賞後、炬燵になりたいと呟く貧乏学生の風采は本作の阿部雅彦に似てしまう。これはもう、必ずそうなるのだった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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だから本作を観る男性客は阿部の立場に立たされて潜在的ストーカーの心情を剥き出しにされ、猟銃で撃たれても泉じゅんに逢うまで死ねず、泉はビニ本から出てきて彼の夢になるのだろう。

そうとでも取らないと、終盤に向けて泉がストーカー阿部になぜ惹かれるのか、てんで合点がいかない。炬燵跨ぐ劣情堪えきれず、ストーカーでもいいやとなった、なんてのはあり得ない。女にとってストーカーは最悪だろう。なぜ一線を超えたのか、感情の寄せ処がもうひとつ是非必要だった。背徳と猟奇は池田の持ち味だが、本作はどうも説得力に欠ける。だから赤い傘の秀逸なラストも、どう取っていいのか判らず惑わされる。

泉の退職理由をつくりながらビンゴなどと云ってにこやかに去って行く栗田陽子はさらに釈然としない。泉にはこんな友達しかいない、ということか。娘の伊藤京子(やたら可愛い)の殺害に逆上して猟銃担ぎだす三谷昇はもの凄く、池田的人物と云うべきか。

私の始めて観たロマンポルノ。それこそ阿部君そっくりの輩に囲まれて下宿のビデオで観た。感動した私もまた阿部君だった。泉は日活デヴュー作が親バレでしばらくポルノから遠ざかっていたらしく、本作の設定は他人事ではなかっただろう。今観ると綾瀬はるかにえらく似ている。

(評価:★3)

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