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[コメント] 遠い雲(1955/日)

俗なメロドラマだけど、だからこそ木下流の闇雲な盛り上げ方とか、凸ちゃんの全体通した演技の抑揚が骨格剥き出しに眺められる美点がある。珍しい桂木洋子のズベコウ振りは堪らん味。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







凸ちゃんの未亡人もの確か第一作。とりわけラストがすごい。汽車は去り、佐田啓二に促されてベンチから立ち上がるとき、ウツケたように頭をフッと左右に振ってフレームアウトする。これだけで彼女の限界通り越した心情がダイレクトに伝わってくる。上手いなあ。こういう何気ない細部を杉村春子に学んだのだと思う。首振りにプラス1点。

ホンはさすがに人物詰め込み過ぎで顔見せ興業然としているし、ジードは気障なだけだし、高山観光案内が多すぎるだろう(但し獅子舞は驚異的)。レイモンド・コンテのクラリネットが聴けるのは貴重。

(評価:★4)

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