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[コメント] 土と兵隊(1939/日)

本物の火器でバンバンと敵基地を破壊するモノホンの迫力たるやとんでもないものだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







破壊に次ぐ破壊。どんなCGが束になってかかっても敵わない「迫力」である。この劇映画で(本当の戦闘じゃないんだよ)破壊されたり占有されたりする建物(民間施設としか見えないものが多い)って中国人の本物の財産でしょ。仮に逆の立場だったら堪らないと思う。戦後処理ではどうなったのだろう。どうせ日中共同声明で不問に付されたのだろう。

中国人は2回出てくる。最初の中国軍による焼き打ちで追い出された村民の件、赤ん坊を抱きあげてどうすることもできない小杉勇の振る舞いは微妙で、どう解していいのか判らないところが一直線な全編のなかで曰く云い難いニュアンスがあり印象に残る(八紘一宇のPRだったのかも知れないが、それなら連れて帰ればいい)。

しかし一方、トーチカ戦闘の場面は原作で有名な個所で、中国軍が降伏するのに日本軍は全員射殺する。これをなんと、映画では省いてしまっている。さすが国策映画、酷い話である。

このふたつを除けば、小杉を中心に仲間のために戦うという主題が徐々に浮かび上がる構成が巧みで、鬼畜なにやらではなく克己心と友情を謳うのは(お定まりだが)そうあってほしいと思うところであるし、実際そのような小隊もあった。この映画を観て小杉のような優しい上官を志した軍人も幾らかはいたかも知れず、それは作品にとって救いだろうから星ひとつ加点する。

(評価:★2)

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