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[コメント] 新しい神様(1999/日)

余りにも純な雨宮処凜に民族自決は先鋭化されてチュチェ思想(!)に至る。90年代の本邦右傾化をひとつの極北で記録して貴重。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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本作の価値は雨宮の語りにある(というか、ライブを除けばそればっかりの映画だけど)。確固たる部分と流動的な部分が混在しているが、前者は自分は依存症だという自己認識にあり、後者は周囲が頼りないという愚痴にあったと思う。後者は右翼団体への非難から脱退にまで至る訳だが、興味深いのは前者。天皇制は物語だと明快に語っていて、それは嘘でもいい、信じられればいいのだというスタンスなのだ。こうなると、虚構だから止めましょうよという説得は何の効力もないことになる。フェイクニュースでも構いませんと。そういうものなんだなあと私など諦念を覚えた。

監督が惚れているとかいう展開は多分彼女の自覚的なギャグだろう。ラストも面白い。成功とされた最後のライブに客が殆ど(ふたりだけしか)映らないのが何か寂しい。歌は「海ゆかば」のギター・アルペシオが美しい。洗脳されたか。

蛇足だが違和感を一言。民族自決を主張するなら、右翼も辺野古で抗議活動をすべきなのではないのだろうか。昔から右翼の反米は打算ばかりだ。

(評価:★4)

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