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[コメント] ナイルの娘(1987/台湾)

日本の漫画からエレミヤ書に飛躍するセカイ系の諦念。ホウ作品らしいギャング映画の少女視点での変奏だが失敗だろう。特に何も感想が沸かず弱ってしまう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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一家が住まうのは建売住宅、主人公の少女のポニーテールと子犬、兄貴が盗んできた赤いウォークマン、バイトするケンタッキーの有線で中森明菜がかかっている。本邦80年代の偽物っぽい空気が(なぜか)ここにもある。この狭い一戸建てに親子三代が住みにくそうに角突き合わせて住んでいる光景(お爺さんは兄を褒めて父をイジメる等)にリアリティが感じられるのだが、それ以上ではない。

ホウ映画らしくギャングの復讐など描かれるが迫力がない。『クーリンチェ』などもそうだったが、台湾映画ではなんでギャングは子供ばかりで迫力のある大人が登場しないのだろう。本邦と比べてどうしようもなく退屈である。

最後はエレミア書が引用され、この都市はバビロンに喩えられ、住む者がいなくなるだろうと預言される。冒頭に主人公が読んでいる漫画とリンクするのだろう。いわばセカイ系の物語だったように見える。しかしこの漫画(タイトルになっている)が大して活用されないのにも不足感がある。観終えて何も残らなかった。ベストショットは雨模様の屋上、パラボラアンテナを横にして主人公が兄を諭す件。

(評価:★2)

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