[コメント] 左利きの女(1977/独)
静かな画面と対照的な、人の心の奥の不満が全編を通して渦巻いている。
夫は、妻が何に不満を持っているのか理解せず、妻もそれをはっきりと伝えるでなく、子どもを隠れ蓑にしている。その不機嫌な無言の対応と夫のいらだちが、見ているものを憔悴させる。
寡黙な父がマリアンヌを訪ねてきてからの彼女の表情が一変する演出もよい。
物売りの声、風のゆらぎ、街並みをパンするカメラ。
タイトルの「左利きの女」は、ほんのわずかなシーンにしか登場しないのだが、その女(赤ん坊を傍らに店番をしている)の意思と生きる強さが主人公マリアンヌを刺激したのか。
ラストの「今ここにいるのに、相応しい場所がないなどとなげくべきではない」が静かに沁みる。
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