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[コメント] ボヴァリー夫人(1989/露)

「ええっ!」の連続。さすがソクーロフ。愉快だったよ。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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「実験好きの映画下手」のソクーロフ。もうね、物語る気なんかさらさら無いんだ。 いろんな事象や人物が唐突に出てくる。省略しすぎ。そのくせ棺桶の搭載なんかは長回しなんだ。 そういう所が可笑しくて3点付けちゃったけどね。 だいたいさあ、俺、ソクーロフ嫌いなんだ。嫌いなのに「ソクーロフのボヴァリー夫人!?ええっ!?」ってんで観ちゃったんだけど。うーむ・・・。

なんでも完成直後にソ連が崩壊し、ごく小規模で公開されたきりだったそうで、ソクーロフ自身が再編集して20年後に日の目をみたらしい。 私は『太陽』を「実験容器の如き設定に置いた素材を眺めているだけ」と評したが、本作もまた同様。 ただ、20年後の今よりも情熱的に人物を取り扱っている。だって情熱的なボヴァリー夫人だもん。 いや、文芸映画を期待したらエライ目に合うけど。

この映画で、ソクーロフの“実験”の顕著な例が「音」であることは、すぐに気付くだろう。 蝿の羽音。一度も姿を見せない列車の汽笛。 彼女が抱く田舎町への嫌悪感や、ここではない何処かへの憧れを表現しているのかもしれない。 ついでに言うと、ロシア語とフランス語が混じってるのはなんでだろう?一度、日本語に聞こえる場面もあったのだが、気のせいだろうか?

私はロシア語は分からないが、少なくとも「ボヴァリー夫人」という原題では無いと思う。 「Rescue And Save」あるいは「Save And Protect」という英題が振られている資料もあることから、本当は「救済」あるいは「救済と庇護」といった意味合いのタイトルなのかもしれない。

(09.10.20 渋谷シアター・イメージフォーラムにて鑑賞)

(評価:★3)

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