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[コメント] きみの鳥はうたえる(2018/日)

主人公は名無しの「僕」なのに、三人称の描写が入る。そういうの不満なんだ。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シネスケでの評価が高くて困っています。シネスケでしか書けないような悪口を書こうと思ってたから(笑)

私の中で空前の石橋静香ブームが起きてましてね。「ノースリーブと不機嫌顔が似合ういい女」と評してるんですが、一流女優と二流歌手のいい血筋だけを受け継いだいい女優だと思っています。ちなみに安藤サクラは、二流俳優と三流エッセイストの「トンビが産んだ鷹」と命名してますけどね。

そんなマイブーム時期にケーブルテレビで録画したものを半年ほど過ぎてやっと鑑賞。いやもう、石橋静河と柄本佑と染谷将太の演技をバシッと決まった四宮秀俊カメラで観られる悦び。それだけで星5。それだけが星5。映画館のスクリーンで観たら高評価だったろうな。残念ながらテレビ画面で見たら粗ばかり気付いちゃった。端的に言えば、それだけ話にのめりこめなかったんです。体感は106分以上に長かった。NHKの単発45分ドラマだったら、ものすごくいい話だと思ったかもしれない。

主人公は、名無しの「僕」。おそらく原作がそうなのでしょう(原作未読)。だとしたら小説は一人称で書かれているはずですが、映画は時折、主人公と違うところに視点が移ってしまう。唐突に三人称で「僕」が知り得ない情報が描写される。なんだかいう中年のバイトの先輩が石橋静香と店長の密会現場を見ちゃうシーンとか。それ、誰視点の描写なのよ?「僕」自身が目撃しちゃったならいいよ。でも彼は二人の関係を「聞いた」かもしれないけど「見て」はいないんだから。

百歩譲って、染谷将太視点はまだいいんです。男2人の調和のとれた生活の中に「小鳥ちゃん」が迷い込んでくる話だから。彼ら2人の物語という捉え方はできる(それだって、染谷将太と石橋静香のキャンプを「僕」の一人称視点で描写しないのと矛盾するけど)。でもねえ、店長とバイトの先輩が飲みに行ったとか、新人バイトと他のバイト女子との色恋とか、突然「青春群像劇」になっちゃう。それなら最初から映画の作りが違う。

そう考えると、原作と違うところで余計な事をしているような気がします。1981年の原作なんでしょ?クラブはねーな。ディスコはあったかもしれないけど。そうなってくると、原作の持つ(であろう)80年代の若者の空気感を、果たして約40年後の今の空気感に置き換えられたのか?って疑問も湧いてきます。この映画、2018年の若者が「わかる!わかる!」「ここに俺がいる!」って共感するのだろうか?

本当のことを言うと、薄々気づいてるんです。この手の冗長な演出をする監督が嫌いなんだと思う。濱口竜介とか今泉力哉とか相米慎二とか。

(2022.09.04 CS録画にて鑑賞)

(評価:★2)

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