[コメント] 男と女(1966/仏)
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はあ?レーサーだぁ?美人の未亡人だぁ?その設定の何処にも俺はいない。そんな設定あり得ない。『ゾンビ』よりあり得ない。そんな男女が惹かれ合おうが合わなかろうがどーでもいい。世界一、どーでもいい話。 なーんてことを思っていた20歳代。チラ見しただけで馬鹿にしてずーっと無視してた映画。
製作50周年記念デジタル・リマスター版を映画館で鑑賞。こちとらアラフィフ。もうね、面白くって面白くって。分かる、分かるよぉ、って俺がいる。ま、相変わらずどーでもいい話だけどね。
映画的な(ヌーヴェルヴァーグ的な)面白さ満載。 ロケ中心、即興演出、“自然”な素材を編集で“不自然”に見せるアンチ写実主義、「男と女と車があれば映画が撮れる」(ゴダール談)そのまんま。話なんかどーでもいい。一方で「女は分からん」というフランス映画の王道。ヌーヴェルヴァーグ時代の末期なのでその集大成という見方もできるが、むしろオマージュに近い印象で、ゴリゴリ感よりマイルド感の方が強い。だから「オシャレ映画」に見えるんだと思う。
男女2人の主人公がそれぞれ登場するシーン。2人とも子供と一緒の場面なんですが、子供を写さない。「この2人の物語ですよ」ってことを早々に宣言する。そこから徹底して2人いずれかの視点だけで話が進行する。 ロミオとジュリエット的な分かりやすい障害も発生しない。きっかけとなるような大きな事件もない。意地悪な第三者も存在しない。ただただ2人の“心”だけをカメラが切り取る大人の映画。この歳になると大人の世界が面白く思えてくるもんだ。
あ、クロード・ルルーシュ、アラサーでこの映画撮ってる。大人だな。
(16.10.30 恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞)
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