[コメント] シェルタリング・スカイ(1990/英)
圧倒的な砂漠の果てしなさや美しさの前に,言葉はただ失われてしまう。
圧倒的な砂漠の果てしなさ,映像の美しさと,それを引き出すような坂本龍一の音楽が何とも言えず良い。そして,その中で悩み苦しむ人間が,いかにちっぽけな存在であるか? 広大な砂漠を奥へ,奥へと旅する主人公達がいかに孤独で無力な存在か? 砂漠の風景が美しければ美しいほど,そうした思いがわき上がってくる。そこでは言葉はいらない…というより,失われてしまうのかもしれない。
それと,この作品は,冒頭のタイトルが現れる最初の瞬間から「これが映画だ!」というインパクトがある。モノクロームの町並みを背景にL・ハンプトンのジャズが流れ,スタッフロールが現れては消えていくバックに,世界恐慌前(たぶん)の絶頂期のニューヨークで歓喜する群衆が映っているが,こんな絶頂を極めた文明でさえ砂漠の時の流れに比べたら一瞬の儚いものでしかなかったということに,後から考えると思い至る。
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