コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 晩春(1949/日)

「蓮は、水面の綺麗な華の部分だけではなく、  水中の部分、さらには泥に埋もれた部分、それらをすべて含めて蓮。  (小津安二郎は、)綺麗な蓮の華を描くことで、泥の部分を含めた蓮全体を描く。」 みたいな言葉を 今回の NHK特集で言ってました(*うろ覚え 意訳_(_^_)_)
fufu

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 私事ですがーー 2003/12/09 NHK BS2で小津安二郎生誕 100年で本作を放送してたので、 Gコードで予約録画していたのですが、 当日、放送時間がずれ、ラスト 4分が切れてしまいました・・(T^T) 自分の観たかぎり 他の小津作品では すべて、ラストに印象的なシーンが来ていたので・・ 観るのを止めようかと考えたのですが・・ もしやっ! 本編だけでも全部入ってないかな!? などと 淡い期待で テープエンドをチラッと観ましたら〜〜(^^ゞ

"どこかの飲み屋のカウンターで、父役の笠智衆が 娘のような年頃の女性と酒を飲み・・・ ひどく重要な "嘘" を ばらしているシーンでありました(大汗  そのあたりで 尻切れトンボ "

しもたっ!(T^T) と 悩んだけど・・ 結局 つつ・・つい 観たくなってしまい、、つつ、つい最初から観てしまいました。 ぼくと同じ憂いにあった方も全国にいらっしゃるかもしれませんね?(T^T)

 さて、私事はこの辺にして・・_(_^_)_

一言で言えば、「娘を嫁に いかせる父親」の物語です。 普遍的なテーマですね。

  感想

すごく古い映画なのに、 「イマドキな若い人・・・」 というフレーズが飛び出すところが可笑しいし・・・ 人の本質というのは、実は長年変化していないのでしょうか?

原節子(紀子役)の 笑顔と台詞・・ それこそ イマドキなら 「ありえね〜〜・・」 とでも、言えるよな 笑顔と台詞かもしれないけど・・ それが、とっても清楚で、、、清楚だけどにじみ出る "お色気"を感じました。 今日びなら、イロケなんて死語かもしれません・・ 今なら エロイ・・・ くぅ〜〜 色っぽくねー(^^ゞ   (* もも・・もっとも、エロイのも そそそ・・そのーー 嫌いではありませんが・・   はっ!(¨;) ”)

 マママ・・マジに感想を述べますと・・

父が、娘に語った言葉がとてもよかったです。

「結婚したからと言って 初めから幸せな訳ではない、、、  幸せを作りあげていくには、 1年、2年〜 5年 〜10年と つとめて本当の夫婦になるんだ・・

 幸せになるんだよ。」

 と 何度も言います。。

私的には、娘こそいませんが 結婚して… 子どもが生まれ 何年かたち、、やっとそう言うことが実感で感じられるようになったかなぁ? どうかなぁ??と思えるこのごろデス。 きっと、娘を持つ父だったら、誰もが思う事なのかもしれません。 そして、この映画に出てくる娘役紀子(原節子)は、父から見ると、とても理想的に感じるのでは?

 小津安二郎の プロフィール等みたのですが、

意外なことに ? この家族をテーマにした映画を作る小津安二郎自身、生涯独身だったそうです。 脚本の大半は、脚本家・野田高梧と 机を並べての共同執筆によるものなんだそうで、 野田高梧 自身はは既婚者で、家族構成までは調べてませんが、 2人で手書きした脚本の清書は、娘さんがしていたそうです。 なるほどなぁ〜…と感じました。

  気になった部分を羅列してみます。

  視線

原節子とお友だちなど・・ いろんなシーンで 小さなテーブルを挟んで (たぶん)お互いの目を見つめて会話をしているシーンがあるのですが・・ 基本的に カメラ正面からの"カメラ目線"になっているのですが、、、 これが、小津監督は、何mmの焦点距離のレンズを使って、 俳優には、いったいどの当たりを見つめるように指導したんでしょう? すごく気になります・・ と言うのが、カメラ目線なんだけど 画面のこちらの自分には 目線が来てないんですよね。ビミョーにずれてるし 自分を素通りして ずっ〜〜と後ろを見つめられてるような焦点距離に感じます。

  旅の宿で

娘と父は布団を並べて休みます。 CinemaScape等 他の人の感想を拝見いたしますと、 このシーンを近親相姦的とか、エロスを感じると言う人もいますが、 ぼくは、全然思いませんでした。(* 人の感想を否定しているわけではなく、ぼくの"主観"です。_(_^_)_) 娘が父に話を続けようとしている横で、「疲れた」 と、寝息をたてて寝ている父には、純粋な娘への愛を感じました。

   さて問題の(^^ゞラスト

 *** ネタバレ 有りです_(_^_)_ ***

ちなみに、 「goo あらすじ」より ラストを引用させていただきますと_(_^_)_ http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD27174/story.html

>周吉は娘の紀子を新婚旅行に送ったあと、北川アヤに再婚するのと聞かれ、「ああでも言わなければ紀子は結婚せんからね」と答えるのであった。彼は一人五十六歳の身を今はさびしい鎌倉の吾が家にがっかりした様にいつまでも身を横たえていた。

とありました。 かなり重要なシーンを見逃していたのですね・・(T^T) このラスト「・・・いつまでも身を横たえていた。」 の部分は とりあえず、脳内補完することにします。(T^T) ちなみに、原作となった本では映画と違い ひょうたんから駒で、父は再婚するのだそうです。

このあたり、今のところラストを見逃したのを幸いに どうなったのか、あれこれ 想像していくのも楽しいかもしれませんね????(くしょぅ!)f(^ー^;

そう言えば、紀子の結婚相手のお顔も最後まで出てきませんし・・ それこそ、本編とは関係ないかもしれませんが? 父の助手 服部の結婚も幸せになれたのか・・ 父もその後・・・ 紀子もその後・・・ と 心配してみたくなるという部分もあり・・  小津監督にしてやられた〜 という感じです。

なんだかなぁ〜〜 結婚前は、こういう所帯じみた映画は、ダイキライだったのに・・ こんな映画に共感するよな年になっちゃったのかなぁ〜〜・・(^^ゞ

と言うわけで、この手の日本映画の 映画的評価は非常にビミョー・・ 『東京物語』の感想でも悩みましたので、、今後・・  一部を除いて 一律 ☆ 3点として、、 「男はつらいよ」と同様 「松 ・ 竹 ・ 梅」 評価とさせていただくことにします。   本作は 文句なしの ☆松っ!

ちなみに、2003/12/14 WOWOWで「晩春」を リメイクして放送するんだそうです・・・  ・・・・・・ うーーむ、、この 笠智衆と原節子の世界観が出せるかどうか・・大いに疑問。。。。。。

-------------------------------------------------

   少し話が変わりますが・・

 ※ちなみに、先日見て 非常に不快だった『秋刀魚の味』 評価は今のところ変わりませんが、「晩春」を観て ちょっと繋がった感じです・・ まだ理解できるには至らないけど・・ (*理解したくない気持ちの方が強い)

小津安二郎 が言ったか、小津作品を評価して言われたフレーズかよく知りませんが・・

「蓮は、水面の綺麗な華の部分だけではなく、  水中の部分、さらには泥に埋もれた部分、それらをすべて含めて蓮。  (小津安二郎は、)綺麗な蓮の華を描くことで、泥の部分を含めた蓮全体を描く。」

みたいな言葉を 今回の NHK特集で言ってました(*うろ覚えの意訳_(_^_)_)

「秋刀魚の味」という作品は、 ひょっとしたら、この「晩春」と同じルーツやテーマを持つ作品だったのかもしれません?

けれど

「秋刀魚…」は、つい 泥をメインにして描いてしまったのかもしれません?  だから、「秋刀魚の(はらわた)の味」?

泥だけ見て生きる生き方も 華だけ見て生きる生き方も 

両方あると思うけど・・

今の自分は、華の方を見て生きていたいなぁ。

 (間違ってるでしょうか?)

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。