全く外部の人間であるライアン・フィリップの存在によって、この二層構造はより鮮明になっていた。ポケットに手を入れることが、こんなにお下品な行為だとは知らなかった。

しかし階下の人間が階上の人間に恨み辛みがあって云々というオチは陳腐すぎる。そんなことのために階級社会を描いてどうするんだろう。これならジェームス・アイボリーの出来損ないとの謗りは免れ得ないだろう。