本作を観て、前作『マスカレード・ホテル』の面白さを改めて理解できた。その最大の魅力は、思いもよらない犯人捜しではなく、刑事木村拓哉vs ホテルマン長澤まさみに尽きると分かった。

何をどう演じても、キムタクはキムタクとも聞く。実際かっこよく見えるし、何をやっても上手く見える。逆に言えば、今までに無いキムタクを引き出すことがキムタク起用の際のポイントになるはずだ。前作から言えば劇中劇のように思えたホテルの空間は、見慣れたステージと舞台裏でしかなかった。ホテルの制服をどこか懐かしんで着たように、ホテルマンらしさをまとうのも早い。既知のホテルマンコスプレのキムタクに、多少の懐かしさはあれど、何もかも無難に、また上手くこなす姿だけでは不満が残るのだ。

目新しさや新たなテーマに挑むときに子どものようにはしゃぐ、あるいはその気持ちを抑える、あるいは思いっきり冷めた風に見せようとする、いい大人になってもそんなキラッと光るような演技が見たかった。

決して悪い作品ではない。無難で上手いキムタクも見れる。 でも、それだけでは★3どまりなので候。