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[コメント] E.T.(1982/米)

この映画は、正当に評価されていない。同時にテーマをぼかし(ぼかされ)てしまった…そう思います。
のぶれば

確か1982年公開当時、一部で話題になった言葉が「第三種接近遭遇」だったような…。『未知との遭遇』の「第二種接近遭遇」に続く作品だと言う解説もあった様に記憶しています。

第一種がいわゆる地球外生命体の存在の証、例えばUFOなどの目撃体験。第二種が、生命体の直接の目撃体験。第三種が、心の交流をする体験。という風な定義だったと思います。

そして当時、スピルバーグは、「これまでSF映画で描かれた宇宙人は、その殆どが、地球人とは敵対関係にあった。しかし、地球上でも、異民族間で交流ができている様に、私は、『未知との遭遇』とこの作品を通じて、地球人と宇宙人の間にも友情が成立することを描きたかった。」(要旨)と語っていたのを覚えている。

スピルバーグ作品は、ともすればエンターティメント性ばかりが注目されてしまうが、本作品においても、後々の『カラーパープル』、『シンドラーのリスト』、『A.I』等で表現された、人間の持つ愛情がテーマとして根底にあったと思っている。

しかし、大人気の影にそうした本人の意図は隠され、いつしか娯楽性ばかりが脚光を浴びてしまう皮肉な結果となった。アカデミー賞でも、映画のテーマは理解されなかったばかりか、『太陽の帝国』、『カラーパープル』の興行的失敗も手伝ってスピルバーグ=娯楽作品監督という評価が定着してしまう。また、当初は『未知との遭遇』では「難解な作品で評論家をごまかす」とも言われていた事や、『シンドラーのリスト』成功後の評価を考えれば、評論家の無節操ぶりは、際立っていると言わざるを得ない。

私は1982年の『E.T.』以降、評論家の話をあまり真に受けない様になった。「そういう見方しかできない人もいるのだ」と切り捨てることもできる様になった。映画の評価は観た人の生の感性でのみできるものだと教えられた。

2002年、特別編が公開された。かつて、この作品でスピルバーグ=娯楽作品監督とレッテルを貼り付けた人は、どういう思いで観ただろうか?彼が持ち続けている不変のテーマを観ることはできただろうか?今になっての特別編の公開が、どことなくスピルバーグの無言の反論であるようにすら思えてしまうのは私だけだろうか? かねてより、この作品は正当に評価されていないと思っていたが、その辺どうなのだろう?

この作品は、その人気よりも、スピルバーグのすべての原点がここにあることの方が注目に値すると個人的には思っているので候。

(評価:★4)

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