やっぱり、成長モノは物語の基本だという、わかりやすさと面白さが凝縮された作品。

突然の悲劇、自分の枠を超える必然、友情、努力、家族愛、そして、勝利を目指す顛末。序盤の突拍子の無い展開にやや鼻白むが、演出と役者の力で、中盤からグイグイ引き込まれていく。とくに、サブ監督の一連の作品や『３９・刑法第三十九条』で豹変する演技の上手さを見せつけてきた、主演の堤真一の成長演技が素晴らしい。最後には、緑色のジャージ姿すらカッコ良く見えた。また、岡田准一のアウトサイダー然とした凛々しさもいいし、バスのお父さん達の面々も含め、なんだかんだ、役者が皆、上手いことはまってる。小ぶりな佳作として万全の体制をとっているのだ（ジャニタレを使ってて「小ぶり」といっていいのか悪いのかはわからないけど）。

本筋をきちんと作っていれば、多少の突拍子の無さは「笑い」に転化するんだと改めて気づかされる。