ちなみにその喧嘩のきっかけは、空母・若宮丸からファルマン複葉機を海上に下ろすシーン。円谷は「ここは特撮で」と主張するも、古澤は「いやウチが撮る」と譲らず、それからすったもんだしたとか。確かに、他作品なら特撮でやりそうなところを、この映画では実写でやっているシーンが多い。ファルマンに限らず空母若宮丸もそうで、全景を撮るならミニチュアでやりそうなところを、どこかの本物の船にファルマンを乗せ「若宮丸」と書いてそれを撮っている。豪快演出の古澤としては、自分で撮れるところは全て撮り、後は円谷に任せる、というやり方だったのかもしれない。しかし円谷としては、特撮で表現出来るものは特撮でやりたい、という思いもあっただろう。喧嘩も当然というところか。

　それにしても目を見張るのは、クライマックスのビスマルク要塞攻撃シーン。コレに関してはテンポの良い古澤演出と綿密な円谷特撮が見事なまでにミックスされていて、思わず手に汗握ること間違い無し！