[あらすじ] 壁の中の秘事(1965/日)
立ち並ぶ団地群。その冷たく硬いコンクリートに閉ざされた何百もの壁の中には、さまざまな欲望と恩讐が閉じ込められていた。若妻ノブコ(藤野博子)は、学生時代ともに平和闘争を戦った同士ナガイと情事を重ねながら再び壁の外へと出る日を渇望していた。広島で被爆しケロイド傷を持つナガイは、彼女にとって平和の象徴であり外の世界を唯一の確認できる存在だった。向かいの棟に住む浪人生内田(野上正義)は、平凡な両親や奔放な姉アサコ(可能かづ子)を軽蔑しながら予備校へも通わず壁の中に悶々と閉じこもっていた。若松孝二率いる若松プロ第1回作品。脚本を曾根中生と吉沢京夫が担当。(80分/白黒/シネマスコープ)
当時、ベルリン映画祭の公式コンペ部門に日本映画連盟が出品した『飢餓海峡』、『兵隊やくざ』がいずれも予選を通過せず、地元西ドイツで推薦された本作『壁の中の秘事』が日本の公式出品作として決定。これに日本映画連盟が猛反発。読売新聞をはじめマスコミも本作の映画祭参加は国辱と非難し、外務省が公式に本作をコンペ部門から外し招待作品として上映するよう申し入れしたにもかかわらず、映画祭主催者は正式作品として上映。一時、ベルリン映画祭への参加拒否問題まで発展した。
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