[あらすじ] 黒い雪(1965/日)
米軍基地の側で売春宿を営む弥須(村田知栄子)のもとに、妹の由美(水町圭子)が新入りの素人娘(滝まり子)を連れて現れた。その席で、由美が愛人の米軍幹部と組んで物資を横流し近々2万ドルの金を手にすることを知った宿の一人息子次郎(花ノ本寿)は、反戦活動家の黒瀬(沢律生)や山脇(野上正義)を誘って叔母の由美の金を奪う計画を立て始めるのだった。米兵に媚びることでしか生きて行けない女たちにを前にして言いようのない挫折感にさいなまれる次郎。そんな彼は、父親のタクシー運転手に弁当を届けるため宿のタクシー乗り場に毎日現れる静江(紅千登世)の清純さに惹かれていくのだった。(89分/白黒/ワイド)
1965年。『黒い雪』は、映倫を通過した一般劇場公開作としては日本で初めて刑法175条(猥褻文書頒布等)の適用を受け監督及び製作担当が起訴されます。これを契機に、日本の法廷で映画表現における「猥褻」とは何か、作家性や芸術性とは何かが争点として争われることになりました。裁判に対して日本映画監督協会が抗議声明を発表、弁護側証人として三島由紀夫や大島渚らが論陣をはることになりました。
結果、1974年、東京高裁は「性的な描写を含む映画ではあるが映倫管理委員会(映倫)の審査を通過した映画であり、映倫は、戦前の検閲制度が廃止されたのち、映画表現においても憲法が保障する表現の自由を映画業界関係者自らの手によって守るために発足したという経緯があり、映倫が一応社会的な信頼を得てきたこと、映倫を通過した映画についてはこれ以前に一度も公訴提起したことがなかったこと等から考え、刑法上の猥褻にあたるとは予想せずに法律上許されるものであると信じて上映したものである」として、その故意を否定し一審、二審とも無罪となりました。
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