[コメント] クイズ・ショウ(1994/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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今となっては大分昔の番組になるが、大橋巨泉、ビートたけし、 石坂浩二らが出演し、『笑ゥせぇるすまん』があったアノ『ギミア・ぶれいく 』(TBS,火曜夜9時〜11時) を思い出す。テレビ東京から大食い選手権を出場者を堂々とパクって引き抜いて作られた、『フードバトルクラブ!史上最強の大食い王!決定トーナメント開幕』を催し大食い文化を壊滅させてしまったのだが、その昔に『ギミア・ぶれいく』で『21(トゥエンティ・ワン)』を堂々とパクっていたのだ。その名も忘れもしない『史上最高のクイズ王決定戦 』だ。早押しの西村…懐かしい。
このクイズコーナーは“早押し文化”を構築して、同番組内で存在自体が奇跡で当時のバブリーさを物語ったコーナー『ドミノ世界記録に挑戦(ドミノ甲子園) 』や、環境破壊を先取りし、その後徳川の怨霊、赤城山で生きていた小動物の怨念にたかられた『赤城山徳川埋蔵金大発掘 』と比べれば歴然と、それなりの成果を挙げた。が、不覚にも知らなかった…21が元ネタだったなんて…。
と、今時の子はこれしきで落ち込むはずもない。今や我々は懐かしいところでは逸見さんのやらせ番組や、つい最近のガチンコやテレビ東京の謝礼など、そして『クイズダービー』でのはらたいら、『世界不思議発見』の黒柳徹子を目にしているので免疫つきまくり“やらせキラー細胞”増えまくりです。今やインフルエンザの方が怖いーゆうねん。
で、そんな免疫付きまくりのテレビっ子だった私にとっては、物足りないの一言に感想は終えそうな気分。いくら本題が作品の舞台がテレビだからってカメラワークは陳腐すぎるし、歴史的建造物“旧正田邸”…いや“滋賀県豊郷町立豊郷小学校”のようなオーラが漂う名作を目指すのでもないく、内部を掘り下げる訳でもなく、ただ単に諸外国に向けての「これでも見て、君らちょっとはアメリカメディア史を学んでくれよ諸君。今や時代はアメリカのユニラテラリズムだよ。予習しとけゴラァ」的パンフレット映画の印象を受けた。
別に全く掘り下げていないわけではない。テレビではなく個人が負けて、改めて組織の非道さと保身本能のポテンシャルの高さを、まざまざと見せてくれてたのでそれなりに面白かった。それなりに面白かったが、そこまで。今は、「アメリカには『知ってるつもり?』系や、涙腺が“超”弱い徳光的キャラの欠落があったからこのような歴史検証映画がでてくるのだろう」、と乾いた涙腺にその一文が浮かび上がる。
この手のアメリカ史映画としては、『JFK』は面白かったし、この映画も参考にしてほしかったところ。『JFK』には新説や、その当時感じたことをダイレクトに映像にして観客に提案し、権力とちょっくら勝負する姿勢のオリヴァーストーンがいた。マジでレッドフォードに見習ってほしかったが、見てるだろレッドフォードさんよ。
見習って例えば「3大ネットワークがユダヤ系になったのは、この事件が発端だった。」や「共和党(=反ユダヤ系)の広告塔であるテレビメディア(下僕)を民主党(=ユダヤ系)が狙っていた。それがよく分かるのは、実はこの事件だ。」とか強引でもいいから少しぐらいは新説を入れてもよかったのでは?これじゃあ、番組内の再現VTR@特番っすよ。
うーん…レッドフォードはサンダンス映画祭持っているから、小回りが利かない権力寄りになったのだろうか。この作品は権力と安定した地位が与えられた中で創作者の行く末とは何かを、監督が映画の主題に監督自身を登場させた、いわば騙し絵みたいな映画。そしてとどめを刺す言い方をするならば、隠されているのは組織の証拠隠滅のほかに監督の、様々な高貴溢れる地位に安住してしまった、いわゆる勝負師の目をくりぬかれたレンブラントでいう『目を潰されるサムソン』(1636年)のサムソンのようであった。
2003/1/20
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