[コメント] ムーンライト・マイル(2002/米)
素晴らしい娘だったダイアナは、家族たちが空に描いた幻想だったのだ。その考えに辿り付くまでにどれだけの無為な日々が費やされたことだろう。
物語の始まる前に、既にダイアナは死んでいたことからも判るように、我々はダイアナがどんな娘であったかを知ることはできない。そのため、常に死者たる娘を意識しながら行動していた両親が歪めている、完璧な娘としてのヴィジョンを我々はただ与えられるのみである。だが、ダイアナはそれほど素晴らしい娘であったのか?そこに親の欲目は入ってはいなかったか。
他方、ジョーはダイアナの真の姿を偏見なしに眺めることはできた筈だ。だがその欠点を大きく捉えすぎているために、親切な親たちにそれを伝えることを怖れている。まして彼は彼女と別れ、新しい恋へと踏み出そうとしている。そこに必要以上の嫌悪感はなかったか?
このふたつの偏見が錯綜する2/3は観ていてイライラさせられる。良いところも悪いところもある普通の娘像が三人の心を解き放つのだが、「感動を呼ぶ」というよりは三者の硬直した脳味噌に苛立たされるばかりであった。演技派を集めた凡庸な家族ドラマとしか見えず、少々失望させられたのが正直なところだ。
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