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[コメント] 魔王(1996/英=独=仏)

単なる反戦映画で終わらない文学性に溢れた作品。原作者の細やかな視点が光る幾つかの珠玉のエピソードが印象に残る。タイトルロールをマルコヴィッチが抑えた演技でリアルに好演。
TOBBY

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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原作にあるのであろう独特の世界観を映像でも構築し作品全体に隅々まで流れさせているのは見事。ドイツ人たちが未だ忘れられない戦争時の痛みを背負っているのは今も変わらない事実。だから文学なり映画を通してこうして時は流れても次々と新しい作品が生まれてくるのは当然。戦争で肥えた醜い人間たちや、目を逸らしたくなる子供たちの死の場面などリアルな描写が多くあるが、それをマルコヴィッチ演じる物語の不思議な案内人を通し全編を寓話めいた雰囲気に包む。それが戦争だけを直接的に描いていない分、余計に鮮烈に感じる。個人的にはカメラワークの流麗さと上官と馬のエピソードなどが記憶に残ったりも。が!★5つあげられないのが、主人公マルコヴィッチの曖昧なキャラクター設定。ポジションとしては狂言回しで良いのだが、人格が純粋なのか?賢いのか?いまいち明確じゃなく戸惑う。解釈によってはストーリー転じさせるためにわざと曖昧な人格にしたとも感じるし…。故に描写不足で★4つ。

(評価:★4)

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