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[コメント] ダスト(2001/英=独=伊=マケドニア)

TVでNYに在住するセルビア人が先のボスニア戦争時、数百年も昔の話から話し始めた。なるほど今わかった彼らの感覚。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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明治、大正、戦中、戦後と言う歴史観を持っている日本人。 身近なところで昭和64年と平成2年は大して変わらないのに恐らく後の世代には昭和、平成できれいに区切られる事になるだろう。映画に何気なく出てくる長崎と広島の原爆投下もあそこで多くの日本人の物語は一旦死に、それ以降の物語として現代があるという感覚がある。こういったブロック単位の歴史観がある為戦前の日本は現代の日本と殆ど精神的な繋がりが見出せないしそういった試みもないわけだ。

バルカン半島の歴史はまさにこの逆なのかもしれない。チトー大統領が成し遂げた(と思われた)歴史の分断と民族の融合作戦。バルカンに住む人達の歴史や民族観を見る事が出来、陸続きである為に起こる事象は現代にも繋がっているという感覚。

盗人が飛行機の中で隣の女性に話しかけ、マケドニアの空を飛んでいられたのはカウボーイが弟の妻にちょっかいを出した所から始まっているのだ。ネタバレで意味不明になろうが冒頭の西部の売春宿上空を飛行機が飛んでも良かった(最後の弟と飛行機のシーンを強調するなら)。

マケドニアは無数の物語がついこの間の戦争で潰えた地でもある。2100年にあの戦争を語る「物語」と子孫が生き残っている事を願いつつそれを語り継ぐ盗人が現れるのだろうか?と不安にもなった。ま、盗人である必要はないんだけど。

(評価:★4)

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