コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 歓楽通り(2002/仏=独)

主人公プティ・ルイの自虐的自己愛に同類的痛みを感じる。
マーヴィン

誰かがきっとあなたを幸せにしてくれるよ。そう、僕以外の誰かが・・・。 そんな自虐的な愛情表現。

自分にはもったいない、自分では分不相応だ、自分は愛を受ける立場にない・・・。なぜか「自分だけは」世間にあふれているかのように見える「愛」とは縁遠い、もしくは無縁だと思う人々がいる。 その人々の多くは、愛を「与える」ことはできるはずだと思う。しかしながら、愛を「享ける」ことに自信をもてない。そして、何より「失う」ことを恐れている。 愛しているのに、自分が愛されることを恐れる。その裏には、喪失への恐怖がある。 いつまでも誰かを愛すること、それは「自己」の領域であり、自分自身でコントロールできる。けれども誰かに「愛される」ことは、自己の領域を超え、コントロールは容易でない。 愛されることを求めない、ということは即ち自己の領域から踏み出さないことだ。 それは激しい自己愛の表れといえるだろう。

変態パトリ・ルコントは、そうした自虐的自己愛の達人だ。偏執狂的な愛、などと表現されることもあるが、実は他者に対して偏執してはいないように思う。 あくまで自己愛の人なのではないかと思う。

そして、僕はこの映画の前に呆然と立ち尽くしてしまった。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)あんきも[*] フランコ づん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。