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[コメント] 非情の町(1961/米=独=スイス)

加害者でなく被害者へと向かう悪意と嘲笑。駐留軍基地の町を舞台に提示される人間心理の醜さ。不本意な仕事といえど、決して手を抜かないK・ダグラス。やりすぎだって!
AONI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







全篇を通じて流れる哀愁感漂うテーマ曲が素晴らしい。地元の女性記者(バーバラ・リュッティング)が事件のあらましを語っていくというドキュメンタリー形式で描かれており、ドイツ人同志の会話は英語ではなく(きちんと)ドイツ語で語られるところが、物語の迫真性を持たせてて良かった。

裁判シーンは本当にやきりれない。弁護士の義務として当然ながら、被告達を救う為にあらゆる手段を尽くすカーク・ダグラス。原告=被害者に同情しながらも、「裁判のプロ」として敢えて非情に徹する男を好演していた。証人に立つ人々の醜さも半端じゃない。プライドから嘘をついてしまう被害者の恋人。被害者に嫉妬する恋人の母や町の住民達。被告=加害者の中でも、一番精神的に危ないロバート・ブレイクが 一番まともな人間に見える皮肉さ!!

追い詰められた被害者女性が自殺してしまう最後、記者たちが“お涙談話”の掲載や写真の掲載を巡って白熱している会話には寒気がした。全く色褪せない題材を、少しの情け容赦もなく赤裸々に描いた問題作。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)sawa:38[*]

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