[コメント] 昭和歌謡大全集(2003/日)
世代間の対立を描くのなら、その価値観の違いなりを明確なエピソードで提示して欲しかった。これではただの「復讐」というキーワードが表されているだけで、「少年VSおばさん」という対立軸が生かされてはいない。他の組み合わせでも何ら問題は無いように思える。
そして「歌謡曲」という思わせぶりなキーワードが、これまた見事にストーリーと絡まずに「とってつけた」ように存在している。(さも何かありそうにだ)
世間で言う「おばさん」という単語には「図々しい、恥知らず、せこい、・・・etc」等の意味合いが含まれる差別用語に近いものがある。だが、本作で描かれる「おばさん」達にはそういう意味合いが描かれてはいない。ここで描かれる「おばさん」は離婚経験者の頑張る女性たちの姿でしかない。(皆結構イケテル女優さんたちだし・・)それに「おばさん」がオナニーしたって、若い男に濡れたっていいじゃないか。私的にはこういったシーンは笑いを取るシーンでは絶対に無いと思う。もしここが笑いを取るポイントとして描いたんなら作者をぶん殴ってやりたい。
劇中で原田芳雄の台詞を借りて2度ほど「おばさん」ネタで笑いをとるシーンがあったが、どうせなら徹底した「おばさん」批判を展開し、徹底的に嘲笑のネタにしなければいけなかったんではないだろうか?
本作は彼女達を中途半端な「おばさん」で終わらせてしまった為に明確な対立軸が描けなかった。それどころか、「愛」を忘れ、「家庭」を失った女たちを応援(肯定)しているんだか馬鹿(否定)にしているんだか判然としない描き方でもある。
再三にわたり、「人の話が聞けるようになった」との台詞が語られる。その頻度から、夫や子供とのコミュニケーション不足から生じた「離婚」と、仲間を得て真のコミュニケーションを知った「解放」をテーマにしたドラマなのかと期待させられもした。しかし、そんな空気も尻すぼみかつ破天荒な展開で期待はずれだったことに気づく。
いったい何だったのだろう?近頃本気で怒れる作品が少なくなった中で、本作の出来は格別である。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。