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[コメント] ウッドストック(1970/米)

ジミ・ヘンドリックスのギターとの一体感にたじろいだ。この人ギターがなくてもこんな音出すと思う。
Myurakz

 僕はジャニス・ジョプリンが観たくてこれを借りたんだけど、これだけ長時間に渡ってあれこれを見せられると、どうしても「ひとつのイベントとしてのウッドストック」というものに目がいってしまう。

 結局のところ、ここに集まった大半の観客にとっての「Love & Peace」なんて中身空っぽのスッカスカもいいとこで、実際は最先端の音楽を聴いたりドラッグをキメたりフリーセックスに現を抜かしたりしたいっていうのが本音なんだろう。柵をぶっ壊してニコやかに入ってくる連中や、フェス終了後のゴミの山を見ればそれは明らかな話だ。モチベーションは常に「楽しそうだ」ってことにあって、命題は後付けにしか過ぎない。ただだからこそ彼らの楽しげな姿はそりゃもう大変に楽しそうで、雨に降られたり泥にまみれたり飯がなかったりするところでさえ羨ましく見える。

 途中で「これってやっぱり“お祭り”なんだ」って改めて思った。もうちょっと固い言い方をすると“宗教儀礼”。しかも「酒とクスリと音楽に陶酔しながら神に祈りを捧げて己を解放する」っていうスゴく原始的なタイプのやつ。「Love & Peace」は彼らにとっての神なんだ。多くの者にとって、祭に於ける神が「楽しむための理由付け」に過ぎないのも正に同じだと思う。リアルタイムの現実に即している分だけ、その理由付けとしての働きはより堅固だ。

 40万人が集うお祭り。お囃子を奏でるのは時代の先端を行く“カリスマ”たち。そんなもん面白くないわけがない。たとえ「Love & Peace」がスカスカでも、その楽しさは圧倒的に本物だ。そしてむしろ楽しさが本物であるが故に、このムーブメントは人のアンテナを揺さぶり時代を動かす。ウッドストックが今でも語り続けられるのは、きっとそういうことなんじゃないかと思う。

 終盤に登場するトイレ掃除のお父さん。「Love & Peace」における本物は実はこの人なんだと思うんだけど、それだけにそのトイレから出てくる若者との対比のシニカルさが光っていた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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