[コメント] サンキュー、ボーイズ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ああ、普通の人達なのに、もうどうしようにも無いこの状況。
ビバリーは自分の人生にの失敗したと後悔の念から、 信頼出来るのは自分の力だけと言う想いがあり、 何でも自分でやらなければダメ、 それに失敗しても自分にはまだ何かある、と不安な確信を持ちたいと願う人。
夫は優しいが70年代のヒッピーに象徴される様な、 自分の人生に責任を持てないどうしようも無いドラッグ中毒者。
息子はまだ物心つかない内に母親の人生の成功に対して邪魔をしてしまった 負い目があるが何とか自分なりに自分の生きる道を見つけて生きてきた。
父親は堅物、50〜60年代にそのアメリカの良き時代に生きてきて、 少し融通がきかなくて、ビバリーをドラッグ売人として捕らえてしまう警察官。
誰もが自己中心的に生きている、 その結果によって得たいモノは、幸せだけなのに、 日々の生活に疲弊し絶望の影に抵抗しながら、 誰もが皆その日常に対してもがいている。
ラストの息子が自分の気持ちを吐露する所は泣ける。
愛している母親、愛している幼馴染の恋人、自分のこれからの人生に対する気持ち、 これらの気持ちがグチャグチャに混ざってしまって、 どうしようもなく吐露するしか無いから。
そして母親は、それに対して、その息子の気持ちを 認めなければならないと知っているから。
いつだって、どんな時だって、夫に対してだって、父親に対してだって、 今まで出会って来た人誰に対してだって、今までの人生で持つべきだった、 何かを認めなければいけないと言う気持ちを、息子に代弁するかの様に言われてしまうから。
私はその優しくて、切ない気持ちに心うたれて泣いてしまった。
ラスト、息子と別れた後、自分の足として今度は父親を呼ぶ。 (私はまたこの辺でも、涙ぐんだ)
そして、車内で二人で「I NEED YOU♪」 、と歌う。
今まで生きてきた自分の人生にココで始めて、 父親の子供で良かった、夫と結婚し息子を産んで良かった、 と言う今までどこか自分でストッパーをかけていた自分の気持ちを 素直に認める様に。
私は、又更にエンドロールを見ながら、泣いてしまった。
とても、自分の人生、家族をうまく描けたとても良い映画。
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